王道ヒロインの波乱万丈物語
昔見たモノクロ映画、美女と野獣のような組み合わせだったけれど、
なんともドラマチックで、ロマンチックで、とても好きだった。
ジョーン・フォンテインのジェイン・エア、
そしてロチェスター様はオーソン・ウェルズだった!
懐かしさもあり、それからミュージカルで上演されると聞いて、
小尾芙佐訳「ジェイン・エア」(上下巻・光文社古典新訳文庫)を読んでみました。
「ジェイン・エア」は、19世紀のイギリスの女性作家シャーロット・ブロンテ作。
妹のエミリー・ブロンテは「嵐が丘」で有名ですが、
もう一人の妹アンとともに、ブロンテ三姉妹と呼ばれています。
で、牧師の娘だったシャーロットの自伝的作品とも言われる「ジェイン・エア」、
やっぱり古典は、それも不朽の名作とよばれる作品はおもしろい。
とにかく一時流行ったジェットコースター・ドラマとか昼の波乱万丈ドラマとか、
ハーレクインロマンスもの(読んでいないけど)が束になってかかっても、
かなわないくらいに、人生ドラマのすべてが盛り込まれ、あれよあれよというまに、
物語が展開していく、これぞヒロイン物語の王道。
しかも、そこは名作といわれるだけの、気品と美しさがあり、
なによりも物語好きにとって最高なのは、
ヒロインの信念ある生き方と、ハッピーエンド!
ヒロイン、ジェイン・エアは、映画では美女が演じていましたが、原作では、
ことあるごとに、「器量はよくないが・・」といわれる、やせっぽちで貧相なタイプ。
のちに大恋愛をするロチェスターも、オーソン・ウェルズが演じたくらいで、
精悍で男らしいけど、顔はね・・というタイプ。
そのあたりの、美男美女ではない恋愛も、けっこう新鮮でした。
ま、それは順を追って書くとして、ジェイン・エアです。
幼くして牧師だった両親を亡くし、叔父の家に引き取られるものの、
その叔父の死後は邪魔者扱い、今なら虐待といってもいいくらいの扱いを受け、
10歳で、厳格で、しかも劣悪な環境の寄宿学校に入れられてしまいます。
ところが、このヒロインは、そんな日々を送りながらも、けっして自分を卑下せず、
正直に自分の思ったことを相手にぶつけていくのです。
叔父の家をやっかいばらいされることになったときも、
自分を虐待し、嘘つき呼ばわりした叔母に、
「あなたがわたしにしたことを、わたしはけっして許さない。
あなたを叔母とは思わない」と縁切り宣言していくのです、たった10歳で。
叔母からジェインは嘘つきで悪い子だと洗脳された寄宿学校の校長に対しても、
屈することはなく、抵抗し、己の主張をし続けるジェイン。
ひもじさや、懲罰、そして疫病。
ついには寄宿学校の劣悪な環境が世間に伝えられるに及び、
校長は失墜、学校の環境も改善されていきます。
その学校で、8年間、最後の2年間は教師としてすごしたジェインは、
18歳にして新しい世界へ、たった一人で旅立ちます。
家庭教師として雇われたソーンフィールドの当主ロチェスターとの出会い、
その館に閉じ込められた彼の忌まわしい過去、
やがて熱烈に愛し合うようになった二人に訪れる別離と、
それぞれの新たな苦難、・・再会。
ジェイン・エアとエドワード・ロチェスターは、年の差20のカップルです。
ところが、これが、「ツンデレ」で「超ラブラブ」(古典をこんな表現でいいのか!)
胸がキュンとしちゃうような恋愛なんです。
途中、二人が別れ別れになってからの展開には、
天涯孤独のはずのジェインに、叔父の莫大な遺産が転がり込むと同時に、
野垂れ死に寸前で助けてくれたある家族が、実は従兄弟だったとわかるなど、
ちょっと都合よすぎるのでは、という部分もあるのですが、
まあ、これだけ苦労してきたんだから、いいかなと思ったり。
とにかく、最後の最後まで、自分の信念を、
そしてロチェスターへの愛をまっとうするジェイン・エア、あっぱれです。
みんながそれぞれに幸せな結末も、すばらしい。
あんまりおもしろかったので、チケット買ってしまいました。
ミュージカル「ジェーン・エア」(日生劇場)
ジェイン・エアは、松たか子ですって。想像できる。
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