光源氏に八つ当たりしてみる
お金がないということは、悲しい。
心待ちにしていた村上春樹の新作を、未だに入手できていないのは、
売り切れで書店にないからではありません。
発売日前から、毎夜パソコンに向い、今日こそは予約を入れられるかと、
図書館のホームページを監視し続けながら、ようやく予約できたのは、
発売日の夕方、すでに予約件数は200件を越えていた!
別に、誰よりも早く読みたいとは思わないけれど、いったいいつ読めるのかと、
気が遠くなる。でも場所によっては、すでに千件近い予約があるらしいから、
まだましなのか。ていうか、そんなに読みたいのに買わないのかって話で。
以前は、春樹(いきなり呼び捨て)の新作は必ず買っていたのに。
今は、文庫になったら絶対買おうと思っていた中山可穂さまの『ケッヘル』さえ、
未だ買えていないほどに、はっきりいって金欠なのですよ。
(もちろん、もう既読ではありますよ)
なぜなのかは書くまでもなく、ご贔屓様の退団公演で使い果たし、
立て直す間もないままに、アイーダの先行販売に追いまくられ、
はっきりいって火の車です~。どうしよう。ほんとに。
はぁ~。
まあ、それはそれとして、読みたい本はいっぱいあります。
春樹のケースは特別として、だいたいは図書館でなんとかなるのですが、
ここのところは『源氏物語』を円地文子訳(新潮文庫・全6巻)でのんびりと読み進め、
4巻まで読み終えたところで、後の2巻が貸し出し中でストップ状態。
こういうところが、ちょっとつらいところではありますね。
ま、これはちょうどきり良く、紫の上が身まかり、嘆き悲しむ光源氏が、
現世に未練たらたらで出家もできないままに、
情けない中年男の無様さをさらしたあげく、
「雲隠」という題名だけの巻で終わるという、痛快さ!
なにが痛快って、題名だけのこの巻は、光源氏の死を暗示している、
と注釈にあるわけですから、もう、なんというか、紫式部、すごいです。
これだけ引っ張った、大主人公である、光のごとく美しく、
なにもかもが並ぶものがないほどに完璧と形容されつくした稀代のプレイボーイが、
その死をひとことも形容されないどころか、描写もされずに終わるのですから。
さすが、紫式部、いやはや、やはり女性なのですね。
でもこれを「報復」と読むのは、穿ちすぎなんでしょうか。
紫式部は、哀れすぎて書けなかっただけかも。それくらい惨めな最後でした。
なんて、よっぽど嫌いなんですね、自分。
だって、読めば読むほど腹立たしい男なんですもの~。
あまりに美しい訳文で、夢のような雅な世界で、情緒たっぷりで、
ついついうっとり読んじゃってますけど、こういう男は心底腹立たしい!
別にね、男であれ女であれ、恋多き人が嫌いってことではないんですよ。
あんなに好きだった想いが冷めていき、ほかの人を好きになってしまった、
っていうのはわかるんです。ていうか、しかたのないことだと思うし、
それの繰り返しの恋多き人は許せるんです(お前は何様か!)。
でもさあ、光源氏の場合はさあ、この女性が並ぶものなく最愛の人であるっていう、
紫の上がいるのに、(しかも、この姫は子どものときにさらわれるようにして、
光源氏のもとにきて、理想の女として育てられ、いつのまにか妻になっていたという、
光源氏のためだけに生きた、というより生かされていた、
実は、かなりかわいそうな女性なのです。カッコが長いな)
それをわかっているのに、ふらふらと他の女に気がいってしまい、
気持ち悪いくらいにしつこく口説き倒して、養女に懸想したり、
ひとの女に手を出しちゃったり、あげくは、紫の上が死にそうなときにさえ、
ほかの女のところに泊まっちゃったり、というサイテーの男です。
なんといっても自他共に認める最愛の女性を、結局幸せにできなかった男ですから。
紫式部も、この上なくすばらしい女性として描いた紫の上に、
子どもも持たせず、ほんとうに光源氏のためだけにあった女性として描き、
さみしく、不安な、満ち足りぬ思いの中で死なせてしまいます。
そして残された光源氏は、そういう思いの中で死なせてしまったことを悔いますが、
それでもなお、女(現世)には未練たらたらなところを描くほどに、
紫式部の光源氏に対する突き放し方は、辛らつであり、小気味いいほど。
あれあれ、なんだか怒りにまかせて、読了していない『源氏物語』のことばかり
語ってしまいましたが、そんなわけで、『源氏物語』も先を読めない、
春樹の新作も読めないという状況の中、
『英雄の書』(宮部みゆき)とか『テンペスト』(池上永一)とか読みました。
「物語」が好きなので、両方とも面白く読みましたが、ちょっとずつ不満もありました。
それを書き始めると、また長くなるので、気が向いたら書きます。
早く『源氏物語』の続きが読みたいな。
いよいよ薫とか匂宮とか、光源氏の子どもや孫達のお話になっていくのだと思います。
あっそうそう、3巻途中までだった『完訳 三国志』の方も、読み始めました。
しかし、これって、どういう記事なんでしょうね。
地位も名誉もお金も女にもことかかなかった光源氏でも幸せではなかったってこと?
何もなさすぎるのもどうかと思いますけどね。
ま、「八つ当たり」ってことですか。
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