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2009年5月

2009年5月26日 (火)

狂気を隠しているような笑い

絵の隅っこに描かれた、ちいさなものが気になってしまう。

いったい何がはじまろうとしてるんだろう、と思わせる。

そんな不思議な世界を描き出す画家、ミヒャエル・ゾーヴァ。

彼のことを知るのための二冊、

『ミヒャエル・ゾーヴァの世界』(2005年/講談社刊)

『ミシャエル・ゾーヴァの仕事』(2009年/講談社刊)を読んでみました。

 

先日、展覧会を観たときに、大きな絵の中にちいさな動物を描くこと、

その大小の対比にゾーヴァの何かしらのこだわりがあるのか、

ということを書きました。

その答えは、前者の本のほうにゾーヴァの言葉で載っていました。

ゾーヴァいわく、「はじめは何か物足りないなと思って」。

つまり、「遊び心」だったようです。

日常の当たり前の風景に、ちょこっとおかしなものを書き入れてみた。

そうしたら、「ちょっと面白かった」というわけ。

静かな農村風景、それだけみたら、ミレーか誰かの絵のようなのに、

隅っこのほうをよく見てみると、逃げ出したガチョウが一羽。

なんだかおかしい。それがゾーヴァの言う、

「ドラマ性というか、とくにユーモア、それも背後に狂気を隠しているような笑い」

ゾーヴァが風刺画を描く重要なテーマなのです。

たしかに、緑濃い木々に囲まれた池の中に飛び込む豚、

「ケーラーの豚」には、おかしさを通り越して、なにかが狂っているような、

妙な感じがあります。

豚ばかりみたいですが、テーブルの上のスープ皿に、

まるで泥んこ遊びするみたいに、ちいさな豚がいる「スープ豚」もしかり。

誰もがよく見知っている日常の風景。

それが不思議な感覚をもたらすとき、そこにはなにか、おかしなことが起きている。

ゾーヴァの絵の中には、そんな、おかしいのだけど、少しだけ怖いようなものが、

ひそんでいる気がします。

かわいいだけじゃすまない、そんなゾーヴァの絵の魅力。いや、魔力かな。

 

挿画を手がけた、『ちいさなちいさな王様』『日曜日はクマの名前』は、

ともに、アクセル・ハッセの作品に、絵をつけたもの。

かなり自由な発想で描かせてもらえたと、後者の本の中で説明しています。

アクセル・ハッセの作品自体が、風刺にもとれるけれど、

そのまま素直に読めば、楽しくて優しい物語。でも、やっぱりどこかおかしい。

そんな作風が、ゾーヴァの絵の作風とも合っているのだと思います。

ちいさな王様も“日曜日”という名前のクマのぬいぐるみも、

とってもかわいくて、いとおしいけれど、なんだかおかしい。

自分と同じくらいの大きさのグミベアーが大好物の王様、

パンツみたいに洗濯されて干されたことを嘆く“日曜日”、

ゾーヴァに描かれた彼らの姿には、どこか哀しいげな感じもあって、

よりいっそういとおしく感じます。

色彩とか、絵の質感も好きだなあ。

ゾーヴァは、『ミヒャエル・ゾーヴァの仕事』の最後に、こう言っています。

 

「絵を描く、それはなにも特別なことではないのだ。

生活の中で感じ、考えたものを表現する。すなわち、

それは僕が生きていることに他ならない。」

 

気に入らなかったり、失敗したと思ったら、

ゾーヴァは何度でも、その絵に上塗りして描き直していく。

生きていくこともそれと同じ。

描きなおせばいい、やりなおせばいい。

ゾーヴァの画家としての自然体の生き方が、そんなふうに言ってくれているよう。

心に染みます。

 

 

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2009年5月15日 (金)

愛しているから・・・

本日、ていうか昨日になってしまいましたが、

東宝宝塚劇場に雪組公演を観にいくついでに、東京国際フォーラムへ。

ついに『The Musical AIDA』のチラシ、ゲットしてきました!

(ついでなんて言って、実はこっちが本命。)

 

もう~ね、ネットで画像が流れてからというもの、

早く実物を見たくてたまらなかったわけです。

ほんとうに、すごいですよ、きれいですよ。

先行チラシはもうなくて、そのかわり、A4サイズ、4ページのニューバージョン。

表紙は、ネットで見とれていたのと同じ、琥珀色の肌のアイーダ様。

いったん目をあわすと、数分間みつめたままになってしまう、恐るべき目力です。

エキゾチック美人、ワイルドです~。もうポーズがね、たまらない。

口元に持ってきている右手の拳が、ちょっと見まちがうと、

小指を口にしてるみたいにも見えたりして。危険ですよ、エロイですよ。

そして、あの射るようなまなざしに、「愛しているから・・・」

のキャッチは、合うんだか、合わないんだか。ちと視線強すぎですか?

でもって、中を開くと、うっ!お~っ! いや、ちょっと色っぽすぎません?

たしか3週間ほど前は男役で。しかも、これ撮ったのって、バリバリ現役の時でしょ。

改めて、安蘭けい様、すごいです。

この人、ほんとうに役者なんです。男だろうが女だろうが役になりきれてしまうという。

おまけに、偶然というか、やはり神様のお導きというか、

この日、ちょうど製作発表の記者会見があったそうです。

ウェブの速報などを見ると、思い切った肩出し、美脚披露のワンピ姿!

もともと男役時代にすでに美脚には定評があったのですが、

ほんとうに細くてまっすぐできれいなおみ足です。

でも、なんだかまだ顔が男役風で髪も短いので、全体で見るとちと微妙でしょうか。

ま、見慣れないってこともあるけどね。

会見は、相変わらずとうこさんらしい、率直で笑いもありのすがすがしいもので。

退団後の気持ちも、「楽になった」「前より上を向いて歩いている」など、

自由になった解放感を満喫しているようで、よかったね~と親心。

のびのびと、でもいつもキラキラと、これからもとうこさんらしくありますように。

新しく生まれ変わるアイーダ、そして女優として生まれ変わる安蘭けい様。

新たな出会いが、今から楽しみで仕方ありません。

 

The Musical AIDA アイーダ -宝塚歌劇「王家に捧ぐ歌」より-

 宝塚歌劇の名作「王家に捧ぐ歌」を、新たにオリジナルミュージカルとして上演。

「あの愛の名作が、時を超え、新たな試みで復活する!」

※アイーダの歌が3曲も増えるそうです!今回は主役ですからね。

 

脚本・演出:木村信司(宝塚歌劇団)

作曲・編曲・音楽監督:甲斐正人

出演:安蘭けい、伊礼彼方、ANZAほか

2009.8.29-9.13 東京国際フォーラム

2009.9.18-10.4  梅田芸術劇場メインホール

 

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2009年5月10日 (日)

おかしくて可愛い不思議な世界

大きな鏡の前で、たぶたぶの豹柄のパンツをはくうさぎ。

からだをピンと伸ばして緑色の池にダイビングする豚。

物干しにつるされながら歌をうたうクマ。

エリザベスカラーをつけた犬。

ペンギンの形のペロペロキャンディーをなめるシロクマ。

それから、それから・・。

どれもこれも、ユーモラスでかわいくて。

 

ドイツの画家、ミヒャエル・ゾーヴァの日本では二度目となる展覧会。

「描かれた不思議な世界 ミヒャエル・ゾーヴァ展」

松屋銀座店にて、5月11日まで

すべり込みで行ってきました。

 

ゾーヴァの絵は、絵本やポスター、そして映画の中で観たことがありました。

絵本は『エスターハージー王子の冒険』

(作・イレーネ・ディーシュ、ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー)

ちいさなうさぎの王子を主人公にした物語に、ゾーヴァが挿画を描いたものです。

そう、豹柄のパンツをはいた姿を鏡に映してみるうさぎが、エスターハージーです。

落ちついた、どちらかと言えば暗い色調。

うさぎのちいささを大胆に表す構図のおもしろさ。

それでいて、どこかあたたかみのある質感。

実際、展示された原画を見ると、絵本の挿絵などは思っていた以上に小さい絵で、

つまりその小さな絵の中で、さらにちいさなうさぎや人物を細かく描いているのです。

挿絵以外で、かなりの大作である「箱舟」にしても、箱舟自体はほんとうに小さくて、

背景となる荒れ狂う暗い海の百分の一くらいじゃないかと思うほど(オーバーかも)。

それくらい、構図的に大小の比較が極端な絵が多くて、

そんなところにもゾーヴァのこだわりがあるのか、ないのか。

小さな箱舟の中には、さらにちいさな動物達がひしめいていて、

でも、それがおもしろくて絵に顔をくっつけるようにして、しげしげと眺めてきました。

そんな小さな世界に、ゾーヴァの遊び心がいっぱいつまっていて、

見過ごしにはできないわけです。

ゾーヴァには風刺画家という一面、というか、もっとも彼らしい一群の作品があり、

これらは、かなり毒もあります。ちょっと品の悪いものや、

怖い感じのものもあったりするのですが、でも、いつもどこか面白みがあって、

クスッと笑ってしまいます。

独特の風刺、ユーモアの感覚が、キャッチーで広告的ということもあるけれど、

もちろん私的には、絵本の挿絵に感じられるようなかわいらしさが好きです。

映画『アメリ』で、アメリの部屋にあった、ブタのスタンドや、

エリザベスカラーをつけた犬の絵も、オシャレでかわいいアメリの世界にピッタリ。

展覧会で、ゾーヴァ熱が上がったと同時に、『アメリ』をまた見たくなって、

帰りにはTSUTAYAに寄ってしまいました。

久しぶりに見たら、ブタのスタンドやエリザベスカラーの犬が、

「アメリは恋をしたのかな?」なんて、心配そうに話したりしてた!

かわいい・・。あのスタンド、マジで欲しいけれど自分の部屋には合いそうもないし。

ついでに書いておくと、『アメリ』はオシャレでかわいくて、大好きな映画。

アメリ役のオドレイ・トトゥも最高にキュート!

『アメリ』(2001・フランス)

監督:ジャン・ピエール・ジュネ

出演:オドレイ・トトゥ

 

大好きな画家さんが美術を担当した大好きな映画、ということでは、

もうひとつ、ニック・パークのウォレス&グルミットシリーズの、

『野菜畑で大ピンチ!』の背景画を担当したのもゾーヴァでした。

巨大ウサギが登場するアレですよ。

 

会場では、ゾーヴァのインタビュー映像なども流れていましたが、

依頼された絵を仕上げた後に、原画に上塗りして原型をとどめない状態にしてしまう、

という悪癖など、子どものような天才画家ならではのエピソードや、

ほんとうに絵を描くことが好きなんだなという印象を含め、

ゾーヴァのことがもっともっと知りたくなりました。

自分もそれほど彼の作品を観ていないことも改めて知ったので、

これからしばらくは、ゾーヴァの既出の作品をひろっていくつもり。

まずは絵本で『ちいさなちいさな王様』『クマの名前は日曜日』を読もうかと。

それから、ゾーヴァとは離れますが、話のついでに。

 
ウォレス&グルミットシリーズの最新作が、7月に公開予定です。

『ベーカリー街の悪夢』(2008・イギリス)

<特別同時上映>『チーズ・ホリデー』『ペンギンに気をつけろ!』『危機一髪!』

7月18日(土)夏休み、焼き立てロードーショー!

今回はパン屋になったグルミットたちが「パン屋さん連続殺人事件」に巻き込まれる、

ヒッチコックばりのサスペンス・コメディだそうです。

楽しみ~。

 

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