ティナの迷走-または自立へのステップ
『The L Word』というドラマに引き付けられる理由はいくつかあります。
2シーズンしか見ていないのに・・・ねえ、でもここまで見て感じたことです。
このドラマが誕生する10年前に『GO fish』という映画が世に出ました。
レズビアンによるレズビアンのための「girl meet girl」ムービー。
それが『GO fish』。
当時、割と違和感なく、なんてすてきな映画だろうと思いました。
新鮮だったし、なによりとてもチャーミングな映画でした。
その頃の、やはり映画好きの友達もこの作品を見て、同じような感想を持ったようでした。
ただ、このかわいらしい恋の成就が、結局はベッドインだったことに、友人はちょっとだけ「なあ~んだ」と思ったようで、当時そんなことを話した覚えがあります。
『The L Word』の製作スタッフに、『GO fish』の監督だったローズ・トローシュ、製作・脚本を担当し、マックス役で主演もしたグィネヴィア・ターナーが加わっていることは、ほんとうに大きな意味を持っていると思います。
この10年が、『The L Word』というドラマを、「マイノリティーの世界をリアルに描きました」的な作品にとどまらせることなく、ある種普遍的な、この世に生を受け生きていくということ、人と出会い心を通わせるということ、アイデンティティや、セクシャリティ、もろもろの、悩みや葛藤、人の弱さ、強さ、優しさ、ずるさを描き出す、まさに「Life」「Live」な作品に導いたといえるのでしょうね。製作者たちにとっては、ようやくここまで来た、というのが正直なところなのかもしれませんが。
完璧ではない、だからこそいとおしい、人の営みの悲しさ、滑稽さ、そして感動。
それが『The L Word』というドラマに引き付けられるいちばんの理由・・といったら、やっぱり気取りすぎですね。
もちろん、それもあり、そして、はい、そうです。
メインキャスト、みなありえないくらい美しい! と~っても魅力的なのです。
たしかグィネヴィア・ターナーのインタビュー記事を読んだときに、そのあたりに、するどくツッコミが入っていました。
グィネヴィアいわく「GO fishの時には、出演者がブサイクすぎるって言われたわ、そして今回は、美しすぎるって言われるの」(意訳)
しかもR指定つきの過激なシーンの数々が、見事に美しい。
いいですねえ。結局そこかい!って言われてしまいそうですが、まあね、そんなところだったりするわけです、人間だもの(相田みつを)。
けっこうシリアスなテーマをいくつも抱えているのですが、ユーモラスな部分がこれまた愉快で、こういう軽やかさは、やっぱりLA風味だよなあ、と思います。
で、みんな大好きなメイン・キャストの中で、いちばん引かれたのがティナなんです。
ようやく、今回のタイトルに追いついたのですが、長くなりすぎたので、これは続編を後日書くことにして、タイトルに込めた想いについて。
ティナという女性は、初めて恋に落ちた女性であるベットと、7年間もオンリー・ワンの愛のくらしを送ってきました。
ベットのことをひたすら愛し、働く彼女を尊敬もし、たぶん憧れてもいただろうし、ベットのことを最優先に、ある意味、自己を犠牲にして、自分でも気づかずに受身の人生を送ってきたのです。
だから、ベットの望む家族のために、人工授精で子どもを作ろうとする。
ところが、思いもかけなかったベットの裏切りという、かなり残酷な形での覚醒が訪れることになります。
「自立したい」ティナは思います。というより、その一点にすがるように、迷走を始めます。
でも、ティナの「自立」は、かなり困難なのです。
シーズン2のラストの出産シーン、ティナの言葉がキーだと思いました。
「こんなはずじゃなかった、がっかりさせてごめんさない」
病院に運び込まれ、自宅出産ができなかったことをあやまっているのか、とにかくティナは泣きながらベットに訴えるのです。
これは衝撃的でした。
ベットから一度は離れ、身重な身体なのに言い寄ってくる女性はいるは、ボランティアの仕事で評価されるは、自立へのステップを上り始めたはずでした。
ティナという女性に、ここまで根深く植え込まれた強迫観念のようなベットへの想い。
これを乗り越えて、対等な関係にならない限り、ティナの自立はありえないのです。
シーズン2のラストで、ここまで。
つまり長い道のりは始まったばかりなのです。
シーズン3、シーズン4、3つのシーズンを費やして、たぶん見ることになるのは、ティナがいかにして自立していくかというストーリーなのだと、今はそう思うことで、ティナのファンにとっては「冬の時代」らしいシーズンを乗り切ろうと身を引き締めている。
つまりそういうことなのでした。
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コメント
はじめまして。
7月のものに今コメントをつけるのも恐縮なのですが・・・。
「Go Fish」を見たのが約10年。
L映画のパイオニア的に紹介されていて、学校の近くのレンタルビデオ屋で貪るようにグィネヴィア・ターナー関連の映画を見た時から長い年月が経ち、3年前のL&G映画祭でTheLwordをひっさげ来日した相変わらず綺麗なグィネヴィア・ターナー&ちょっと太ったローズ・トローシュのトークショーを聞いた時は感無量でした。
正直に言って、普通のTVでこういうドラマが見られる日がこんなに早く来るとは思わなかったのですが、彼女たちにとっては、自分たちの表現したい欲求を形にするための手段として必然だったのでしょうね。
そのパワーに感服です。(それなのにアイリーンがこんなに全面的に出ていることに違和感がありますが)
長くなりましたが、思わず反応してしまいました。
投稿: TY | 2008年12月 9日 (火) 12時53分
TY様、コメントありがとうございます。
ちなみに「GO Fish」と検索してここがわかったのでしょうか。
いまだ、たどたどしいブログ運営で、見ていただけたことだけでうれしいです。
「Go Fish」のグネヴィア・ターナー、とってもキュートでしたよね。
あの帽子のかぶり方とか。
最近(S3~4)のL wordに関しては、アイリーンに対する不満ばかりが募り、
グネヴィアやローズ・トローシュのことを忘れがちでした。
もっと、一話一話、誰が書き、誰が演出しているか注目すべきですね。
少し反省しました。ありがとうございました。
投稿: AK | 2008年12月 9日 (火) 23時18分
ベッドとジョディのことを検索していたらたどり着きました。
そうしたら「GO Fish」のお話があり、ついつい反応してしまったしだいです。
以前は宝塚も見ていたので、とうこさんの話も懐かしく読ませていただいています。
私が見ていたのは、とうこさんが新公主役をやっていた頃から、これからどうなっちゃうんだろうというような時期でしたので、無事にトップとなれたこと、素晴らしい作品に幸運にも巡り合い退団されることをAKさまのブログで読み、しみじみと良かったなーと思いました。
代表作と思える作品に、しかもトップであたれるなんて滅多にないことですもんね。
これからもL関連だけではなく、とうこさんの話も楽しみによまさせていただきます。
投稿: TY | 2008年12月12日 (金) 13時37分
TY様、重ね重ね、ありがとうございます。
L wordのカテゴリーで、とうこさんの名前が出るなんて、
くすぐったいような、うれしさです。
で、もしかしてJobette(あってますか?)ファンですか?
失礼なこと書いていませんでしょうか?
そんなつもりはないのですが、あまりにティナ贔屓のため、そんなこともあるかと。
よろしかったら、Jobetteよりのご意見、ものすごく知りたいのですが。
どの記事でもいいので、コメントいただければ幸いです。
投稿: AK | 2008年12月12日 (金) 23時32分